新「シネマに包まれて」

字幕翻訳家で映画評論家の齋藤敦子さんのブログ。国内外の国際映画祭の報告を中心にシネマの面白さをつづっています。2008年以来、河北新報のウェブに連載してきた記事をすべて移し、新しい装いでスタートさせました。

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2020tokyo_kokusai_03_p01119日夕、東京国際映画祭がクロージングを迎え、観客賞の発表と授賞式が行われました。既報の通り、今年はコロナ禍のため、コンペティション、アジアの未来、日本映画スプラッシュというコンペティティヴな3部門は、TOKYOプレミアに統合。したがって審査員はなく、観客による投票で競う観客賞のみとなり、大九明子監督、のん主演の『私をくいとめて』が選ばれました。

 今年は海外からゲストが来日することが不可能なので、必然的に2020tokyo_kokusai_03_p02日本映画にフォーカスされた開催となりました。日本映画は新作をTOKYOプレミアと特別招待枠で紹介された他、ジャパン・ナウで深田晃司監督の特集が組まれ、ジャパニーズ・アニメーションでアニメの新作が、日本映画クラシックスでデジタルリストアされた山中貞雄監督の作品などが上映されました。

 石坂健治シニア・プログラマーのインタビューにある通り、来年から再びコンペティティヴな部門を復活させるのか、それとも是枝裕和監督が長年提言してきたように、トロント国際映画祭のようなショーケース的な部門のみにするのかは、これから内部の話し合いで決定されることでしょう。が、どこの映画祭もコンペティティヴな部門が増える傾向にある現状を踏まえると、クロージングの華である授賞式をまったくやめてしまうとは考えにくいように思います。

 私的には東京フィルメックスを重点的にフォローしたため、東京プレミアのシー・モン監督『アラヤ』、エドモンド・ヨウ監督『Malu 夢路』、レザ・ドルミシャン監督『ノー・チョイス』、ワールド・フォーカスのフェルナンダ・パラデス家督『息子の面影』、ラヴ・ディアス監督『チンパンジー属』が見られた程度で、見逃した映画が多く、とても残念でした。来年はもう少し時期をずらして開催していただきたいと切に願います。

 今年の変則的な開催で結果的に印象が薄れてしまいましたが、TIFFが大きなターニングポイントを迎えていることは確かです。これからどういう映画祭を目指していくのか。東京フィルメックスとのタッグで、プサン国際映画祭への対抗軸を作れるのか。問題山積のTIFFですが、コロナ禍が、新たなプラットフォーム作りを考えるきっかけになったことを祈ります。

写真(上):観客賞の大九明子監督と主演ののんさん。©2020 TIFF

写真(下):東京フィルメックスはペーパーレスだったが、TIFFはまだ投票用紙が使われていた。

 

2020filmex03_p_01_sub 11月7日夕、有楽町朝日ホールで第21回東京フィルメックスのクロージング・セレモニーが行われました。今年はコロナ禍下の開催のため、例年プレス向けに開かれていた記者会見がなく、受賞者に直接質問できなかったのは残念でした。

 万田邦敏監督を長とする5人の審査員は、最優秀作品賞にヒラル・バイダロフ監督の『死ぬ間際』(アゼルバイジャン)、審査員特別賞に池田暁監督の『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(日本)を選定。バイダロフ監督はリモートで、池田監督は舞台上で、それぞれ受賞の挨拶を行いました。

2020filmex03_p_02_sub 作品賞の『死ぬ間際』はヴェネツィアでの高評価通りの結果でしたが、残念ながら未見。『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』は、今回のフィルメックスで私が最も面白く見た作品でした。

 川を挟んで2つの村が戦争をしている、日本によく似たどこかの国。戦闘がどこで行われているのか、戦況がどうなのか、勝っているのか負けているのか、すべてがぼんやりとしたなか、朝9時から夕方5時まで戦争に“出勤”していた主人公が、軍楽隊に異動になって…というストーリーです。市山ディレクターとのインタビューにある通り、日本の現状2020filmex03_p_03_subをカリカチュアした映画で、独特のユーモアが見どころ。プロパガンダで洗脳され、自分で考えることをやめてしまう怖ろしさ、戦争という“血なまぐさい現実”が、どこか遠い、ぼんやりとしたものになっている怖ろしさを喜劇として描く池田暁監督の才能に感服。押井守監督の『スカイ・クロラ』にも似た雰囲気を感じました。

 学生審査員賞は春本雄二郎監督の『由宇子の天秤』に。この作品は、10月30日に閉幕したプサン国際映画祭のニュー・カレンツ部門でも受賞しています。

2020filmex03_p_04_sub●香港の今、浮き彫りに
 観客賞の『七人楽隊』は、香港のアン・ホイ、ジョニー・トー、ツイ・ハーク、サモハン、ユエン・ウーピン、リンゴ・ラム、パトリック・タムという蒼々たる七人の巨匠が、香港に捧げた短編オムニバスで、18年12月に亡くなったリンゴ・ラムの短編は、どんどん姿を変えていく香港への遺言のような掌編でした。

 『七人楽隊』が描かなかった(描けなかった)、雨傘運動で揺れる香港の現状の部分を担っていたのが特別招待作品として上映されたスー・ウィリアムズ監督の『デニス・ホ2020filmex03_p_05_subー:ビカミング・ザ・ソング』でした。デニス・ホーは香港で生まれ、家族が移住したカナダで育ち、アニタ・ムイに憧れて歌手をめざし、アニタ・ムイに弟子入りした後、ソロ・デビューを果たした香港のトップ・スターです。アニタ・ムイとの別れ、ゲイのカミング・アウトを経て、アニタ・ムイの影響を離れ、自分らしさを追求する中で雨傘運動が起こります。香港の自由を守るため、積極的に活動に参加する彼女は次第に中国当局から活動を制限されるようになるのですが、それにも屈せず、活動を続ける彼女に感動しました。

 『七人楽隊』と『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』は互いを補完しあって現在の香港の姿を映し出しています。この2本を同時に上映したフィルメックスに敬意を表します。

 ちなみに、『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』を含む12本のコンペおよび特別招待作品(残念ながら『七人楽隊』は対象外)が期間限定で有料配信されます。詳細は東京フィルメックスの公式HPをご覧下さい。

写真①(上から)
授章式の模様。受賞者と審査員。中央で賞状を持っている池田暁監督(左)と春本雄二郎監督(右)。2列目左から審査員長の万田邦敏監督、クリス・フジワラさん(池田監督の陰)、トム・メスさん、エリック・ニアリさん、坂本安美さん。1.8メートルのソーシャルディスタンスを守っているため、写真が撮りにくい。
写真②
『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』上映後のQ&Aの模様。右がスー・ウィリアムズ監督。
写真③
観客賞『七人楽隊』のプロデューサー兼監督のジョニー・トー監督からのメッセージ。
写真④
最優秀作品賞『死ぬ間際』のヒラル・バイダロフ監督からのメッセージ。
写真⑤
観客賞の投票もQRコードによるペーパーレスで行われた。

2020tokyokokusai_ishizaka_san●コロナ禍、東南アジアが深刻
――今年のアジア映画で見どころをうかがいたいんですが。

石坂:今年のアジア映画は、台湾特集以外のアジア映画はクロスカット・アジアという小冊子に出ています。最初のTOKYOプレミアの13本はコミッティーで選んだもので、アジアは石坂がメインで、市山さんに意見を聞くという形。ワールド・フォーカスのアジアの7本はコミッティーとは関係なく、私が中心に選びました。

 TOKYOプレミアはコンペがあると思って出してくれた人達の作品から選んだものです。応募本数から言うと、激減したということはないですね。ざっくり東アジア、西アジア、中東くらいに分けると、がくっと減ったのは東南アジアで、近いアジアと遠い中東はあまり変わりませんでした。コロナ以前に出来ていたというか、撮影さえ出来ていれば後は何とかなるので、今年はそれほどダメージがなかった。逆に東南アジアは深刻でした。

 

――フィルメックスも東南アジアが減ったと聞きました。

石坂:逆に、特集する台湾は今年は非常に当たり年でしたね。コロナを押さえ込んでいるので、ちゃんと回っている。

 

――オードリー・タンIT大臣のおかげですね。

石坂:予選があって準決勝があって決勝のようなイメージで言うと、コミッティーに上がる前に予備選考がある。アジア・中東だけで500本くらい応募が来ますから。そこを通過したものがコミッティーにあがるわけですが、削っても削っても本数がなかなか減っていかなかったのが中東です。圧倒的に強かった。結局中東は5本くらい残っています。イラン、トルコ、イスラエルあたりは近年ずっと強いんですが、必ずしも政情が安定している国でもないのに、社会問題をきっちり踏まえたうえで、人間のドラマが重厚に描かれる映画が多く、コミッティーの面々も嗜好はいろいろ違うけれども、中東に関しては強いということで何本も残りました。      


シー・モン監督の『アラヤ』など中国三作品がおすすめ

――ワールド・フォーカスのアジアは石坂さんが選んだ?

石坂:私が選ぶというより、他の映画祭の受賞作を優先しました。ラヴ・ディアスは直前のヴェネツィアで監督賞だし、アン・ホイはヴェネツィアで名誉金獅子賞、イランの『荒れ地』もオリゾンティのグランプリです。

 

――映画祭で評判だったものを集めた?

石坂:そうです。TIFFのワールド・フォーカスとフィルメックスの特別招待が似ているかもしれません。

 

2020tokyokokusai_02_p_02――今年のアジア映画のお薦めを何本かあげていただければ。

石坂:トータルとしては中東が強かったけど、個別のお薦めは東京プレミアの中国の3本です。シー・モン監督の『アラヤ』とシェン・ユー監督『兎たちの暴走』の2本は両方とも新人の女性監督ですが、まったく作風が違い、両方とも素晴らしいです。『アラヤ』はどちらかというとスローシネマというか、仏教的な世界観で、輪廻とか諸行無常とか、相当勉強しています。アラヤとは架空の村で、何人かの主人公の別々のストーリーが20年近い過去と現在で進んでいく話です。

 

――アラヤって村の名前なんですね。

石坂:仏教用語です。

 

――阿頼耶識の阿頼耶?

石坂:そうですね。『兎たちの暴走』の方はまったく逆で、少女のところに消息不明だった生みの母親が戻ってきて、お母さんが不良母で、娘と組んで悪さをするところに追い込まれていくという、はっちゃけたパンク映画で、突っ張った第六世代の面々が脇を固めているので、これはちょっと面白いです。中国は他に、以前『ミスター・ノー・プロブレム』を撮ったメイ・フォンというロウ・イエの脚本家だった人の『恋唄1980』があります。改革開放が始まったくらいの、まだ経済発展がスローテンポだった頃に学生だった男女4人の話で、時代でいうとジャ・ジャンクーの『プラットホーム』の頃、あれは巡回の歌舞劇団の話でしたが、こちらは大学生でその後に内モンゴルに行く話で、やっぱりいいです。ロウ・イエと組むと、もうちょっと過激な話になるけど、これはもうちょっと押さえて、自伝的に若き日を見つめています。

●社会性に富む青春映画

 それから『チャンケ』は韓国・台湾合作で、韓国に住む台湾生まれの華人の少年のアイデンティティ探しの話なんですが、イメージ的に言うと在日コリアンの話みたいな。チャンケというのは要するに中国人を悪く言う言葉です。高校生で差別を受けたりするなかで、不良の韓国人の女の子と仲良くなっていくという。社会問題も出てくるんだけど、青春映画の王道みたいなところもあって、この不良の女の子の女優さんがすごくいい。

 

――台湾映画と韓国映画とはテイストが違うから、それがミックスされるとどういう風になるのか。

石坂:韓国映画の作り込んだ感じがなくなり、もう少し台湾的な自然な感じになる。作り込んだ方で面白い映画は、チョ・バルン監督の『スレート』です。これも従来のコンペなら入ったかどうかという作品で、女性ソード・アクション映画です。スレートというのはカチンコのことで、撮影の現場で違う世界に入ってしまい、そこで悪と戦う。ちょっとSFも入っている。これは韓国映画のお得意のパターンですね。

 さっきのメイ・フォンも含めて、TIFFにリピーターで帰ってきてる監督、たとえば『Malu 夢路』というのがありますが、これは2017年に監督賞を獲ったエドモンド・ヨウですし、『カム・アンド・ゴー』のリム・カーワイ、彼は大阪ベースでしたけど、10年くらい前の杉野希妃特集のときに来てもらって以来です。

 

――石坂さんと話をしているうちに、TIFFのアジア部門とフィルメックスとの棲み分けがうまくいくような感じがしてきました。石坂さんが選ぶものは市山さんが選ばないし、その分、可能性が増える。今年はゲストが来られませんが、この時期にアジアからいろんな人が来日したら、一時的にアジア映画の中心的な渦が東京で作れる可能性がありますよね。

石坂:市山さんがTIFFに近づいてくれたし、というか、そもそも私の2代前のTIFFアジア部門の先輩だし、私もTIFFに入る前はフィルメックス贔屓だったわけで、今年は60歳になったことだし、ちゃんと二人で何かやるべきだと思いましたね。

 

――フィルメックスで引っかからないものが必ずあって、それをアジアの未来が拾っている感じはしていました。両方の視点があって、アジアはよくなるとは思います。新人が希望を持てるというか。

石坂:これまではプサンがあって、TIFFがあって、フィルメックスだったので、出す側はどこに出そうか迷う。2つに分かれていた日本は、合体した方がプサンの対抗軸になるし、この時期プサンと東京に行けばアジア映画が沢山みられる、という風になればいいなと。そうなるために市山さんと協力したいと強く思っております。

 

――それはいい考えですね。市山さんと話しているときは市山さんが話すメリットは分かるけど、あまり総合的なビジョンが見えなかったんですが、今、石坂さんと話していて、新しいビジョンが見えてくる気がしないでもない(笑)。

石坂:そのためにはTIFFの側で来年以降の部門、編成ですよね、それをTIFFの中で詰めていかないと。

 
 写真(上)は石坂健治シニア・プログラマー。
 写真(下)はメーン会場の風景

(10月29日、東銀座の東京国際映画祭事務局にて。)

2020tokyokokusai_ishizaka_san33回東京国際映画祭が1031日から119日まで東京・六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズを主会場に開催されている。今年はコロナ禍の影響で、コンペティション、アジアの未来、日本映画スプラッシュは、TOKYOプレミアとワールド・フォーカスという2つの部門に統合・縮小された変則的な形となり、フィジカルな開催は可能になったものの、全体的にこぢんまりとした印象になった。これにはコロナ禍だけでなく、長年問題を抱えながら続いてきた東京国際映画祭が、いよいよ抜本的な改革を図っているためかのようにも見える。東京国際映画祭は今後どうなるのか?アジアの中での立ち位置は?昨年に引き続き石坂健治さんに話を聞いた。

 

●フィルメックスと同時期開催

――今年の東京国際映画祭(TIFF)はフィルメックスと同時期開催ということになりました。そのうえ、コロナ禍でコンペもアジアの未来もいったんなくなりましたが、こういう形の開催が決まったのはいつでしょうか?

 

石坂:かなり後になってからです。コロナが深刻になりだして、しばらくは土台はそういじらずに、その中で出来ることはやろうという意見が多かったですが、コロナが進むにつれて、もっと思い切ったことをというふうになっていきました。決まったのは6月でしたか。4月から応募が始まっていたので、出す側は従来通りと思って出してくれるので、何か変えるときには我々の意向だけでなく、彼らにも通知をしなければならない。なので、きっちり決まるまでは時間がかかりました。

 

●コロナ禍。映画館での上映にこだわる

――フィジカルな開催は変えないで?

石坂:そちらはまた別の要素で、映画館へ行こうキャンペーンとの連動があったので。もちろんゲストの来日は難しいということは最初からありましたが、部門は暫定的になるけれど、映画館での上映にはこだわっていました。

 

――市山さんから、同時期開催についてはコロナの前から考えていたと聞いたんですが、同時期開催だとアジア対アジアで重なりますよね?

石坂:それは市山さんとも話しました。いろんな考え方があるんです。2つが合体することでプサン映画祭と対抗できるようにするという面もあるんじゃないかとか。それから、アジアの未来が従来通りあったとして、プレミアにこだわるTIFFと、そこにはこだわらず、その年の優れたアジア映画を集めるフィルメックスで棲み分けられるんじゃないか、みたいな話もしました。結果として今年は東京プレミアに入った新人作品とワールドプレミアが揃い、フィルメックスも強力なラインナップになったので、そこは出来たんじゃないかと思います。ただ、やはり同時開催で、お客さんが見られるもの見られないものが出来たというあたりは、ごめんなさいですが。

 

●フィルメックスとの区別が難しい?

――アジアの未来とフィルメックスは同じコンペティティヴな部門なので、区別が難しくなってきませんか。

石坂:これは来年以降のことなんですけど、また元に戻るのか、それとも今年のTOKYOプレミアのような30本くらいの部門をやってみてどうなるのか。やってみた評判とか、ゲスト、観客、やってる我々も含めて、もう1回考えないとダメでしょうね。今年は暫定的な面が多いと思います。

 

――見る方もですが、出す方も選びますよね? 市山さんと石坂さんではテイストが違うし。

石坂:市山さんには今年からコミッティーに入ってもらい、彼も彼でフィルメックスの常連たちへの説明の仕方が必要だと推察しますけど、彼とは同世代だし、同じような映画体験をしてきているので、非常に強い味方を得た感じです。アジア映画に関しては、かなりすんなりいったと思います。というのは、どっちがどっちを取るかではなく、そこは変わらず、出す側が両方掛け持ちして出していた場合、うちも欲しい、フィルメックスも欲しいとなった場合は出品側に決めてもらいましょうと最初から決めていたので。

 

――TIFFの場合、今年は非常に暫定的な開催になったわけですが、来年アジアの未来は復活するんですか?

●大コンペ部門への試行錯誤

石坂:私のもともとの考え方が2つあります。1つはアジアの未来にこだわる。せっかく2013年から7年やったわけですから、上映した監督達がやっと次のステップへ行くみたいな段階になっているので、もうちょっと応援したいと思う。もう1つは、今回東京プレミア部門で世界中区別せずに32本やったような方式で、細かい部門を作るのではなくて、全部統合して1部門、大コンペ部門を作るというものです。

 

mainkaijo――コンペ、アジアの未来、日本映画スプラッシュという3つのコンペティティヴな部門を統合するということですか?

石坂:個人的な意見というか、提案ですが。いろいろ問題はあるんです。審査員がそんなに見られるのかとか。

 

――見られないですね。

石坂:カンヌ、ヴェネツィアあたりでも20本くらい?

 

――20本くらいです。カンヌは実質10日間で20本、これが21本、22本になると、13本見なくちゃいけない日が出来て、大変になってきます。

石坂:するとトロント的に、ショーケース的な、今年に近い形。是枝裕和監督なんかは昔からそういうことを提案してきています。今年は結果的に是枝ビジョンに近い形になりました。

 

――最初に聞かなきゃいけないことでしたが、石坂さんの今年の肩書きは何ですか?

石坂:矢田部吉彦さんと私は今年からシニア・プログラマーという肩書きになっています。

 

――部門は設定しないで?

石坂:そうです。小さな部門のピンで決めないで、コミッティーにTIFF側の人間として入るという意味です。

 

――1つの大きなコンペ部門に統合していくのにやりやすいですね。

石坂:コミッティー方式で1回やってみて、悪くない感じがあったんです。市山尚三さん、安藤紘平さん、関口裕子さん、金原由佳さんに入ってもらい、ざっくり日本映画、欧米、アジア担当と、コミッティーの中で役割のグラデーションをつけたんで、これはもう少し続けてもいいかもしれないと思いました。

 

――コンペを1つに統合するなら20本くらいが限界だと思うんですが、そうするとサブ部門を作らざるをえなくなる。それが見えないんです。

石坂:応募作を見ると圧倒的にアジアの新人新鋭の作品が多い。今年の東京プレミア32本にもアジアの未来的な映画が相当入っている。アジアの場合はベテラン・中堅のものよりも、そういう作品の方が生きがよくて、これでコンペとつけば作品集めとしても強いんじゃないかと思います。

――来年もしコンペティション部門が復活すると、20本の枠にアジアが何本入ってくるのかという問題になってくる。日本人て平等が好きだから、欧米10本、アジア10本とかやっていくと、またへんてこりんになっていく気がする。今までアジアの未来がカバーしていたところはすごくうまくいっていたのに、そこがなくなるとアジアの新人の受け皿が少なくなる気がするんですけど。

石坂:アジア重視という大前提をかかげてもらって、そのうえで何をやるか考えてもらった方が建設的だとは思う。

 

――今年は今までの東京映画祭のターニングポイント的なことがどんどん出ている気がします。

石坂:先週の金曜日に朝日新聞に“TIFF3つの激変”という記事が出て、コンペなし、フィルメックスと同時期、是枝さんの提言が入ったというもので、うまくまとめていましたが、例年よりは変わりました。加えてコロナもあるし。これを来年につなげるものにしたいなとは思ってます。

 

――アジアの未来的なアジアの新人のコンペもなし、メインコンペ&サブコンペみたいな考え方もなし?

石坂:そこは誰に聞いても答えられないんじゃないかな。

 TIFFの方を向いてくれるアジアの人達は若くて新人なんです。そこはまず大事にしなければいけない。それは何にも変わらないです。あとは部門構成を全体の中でどうするかという議論を終わったらもう1回やらなきゃだめだなと思っています。

【写真(上)】インタビューに答える石坂健治シニア・プログラマー
【写真(下)】
主会場のTOHOシネマズ入口。今年は密を避けるためプレスセンターがなく、大屋根プラザにインフォメーションセンターが設置された。

tokyo2020_01_p1_sub――今年のラインナップですが、パッと見、西アジア作品が多い気がします。

市山:本当に多かったですが、逆に言うと東南アジアの応募が少なかったんです。結果的に『アスワン』というフィリピンのドキュメンタリーが入っただけ。これはTIFFの方でも同じ答えが返ってきて、東南アジアの応募が激減したらしいです。

 

●コロナの中、イラン映画が盛況

――なぜです?

市山:コロナの影響なのか、コロナのせいで出資者がいなくなったのか分かりません。その一方、なぜか西アジアがすごく多い。イランとか、ものすごい応募があって、あんなにコロナが大変だといいながら、よく作っていると思います

 

――今年はベルリンの金熊賞(モハマド・ラスロフ監督『悪は存在せず』、TIFFワールド・フォーカスで上映)がイラン映画だったし、イラン映画が多いという印象があって、なぜだろうと思ったんですが。国内的に何かがある?

市山:『迂闊な犯罪』というイラン映画はパーレビ時代のイランと今のイランと何も変わらないという映画で、国内はそういう状態なんだと思いますね。結構大変な状態じゃないかと思います。

 

――この間、ベルリン映画祭からリリースが来ましたが、相変わらずリベラルな映画人を逮捕したりしてますね。

市山:『迂闊な犯罪』はパーレビ王朝の最後の頃に映画館の焼き討ちが起きたのと同じことが現代で繰り返されようとしているという話なので、言いたいことは絶対にそこだと思うんです。

 

●アルメニア映画「風が吹けば」

――『風が吹けば』はアルメニア映画ですが、珍しいですね。

市山:これは偶然なんですが、今アルメニアとアゼルバイジャンが戦闘体制になって、戦車を爆破したりしていますが、その火種がこの映画に描かれています。ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領なのにアルメニア人が住んでいて、ソ連から分裂したときに独立しようとしたのですが、アゼルバイジャンが認めなかった。それで1990年代の初めくらいに、アルメニアとアゼルバイジャンの間に戦争が起こったんです。『風が吹けば』はその停戦後の話で、国際空港があると独立に有利に働くというんで、ナゴルノカラバフ空港を国際空港として認めてもらおうと、フランス人技師のグレゴワール・コランが調査くるという話です。映画では紛争はまだ収まってなくて火種が残っているという結末ですが、その火種が今まさに勃発している。監督のノラ・マルティロシアンは今はフランス在住ですが、アルメニア出身の女性監督の第1作です。

 

――隣のアゼルバイジャン『死ぬ間際』は?

市山:ヒラル・バイダロフはボスニア=ヘルツェゴビナにあったタル・ベーラの映画学校の出身です。講師として招待されたことがあったので、そこで会っています。2年前にデビュー作を送ってきて、それはやらなかったんですが、数年の間にえらい進歩をとげて、すごい映画を作った。

 

――ヴェネツィアに出てましたね。

市山:ヴェネツィアのメインコンペです。これはさすがタル・ベーラの弟子というか、変な映画で、ストーリーを追うことは無視しています。男がいざこざに巻き込まれ、人を殺してバイクで山の方に逃げると、いろんなところで女性に出会い、彼女たちを救いながら旅をしていく。何か裏に意味があるのかもしれないが、よくわからない。

 

――タル・ベーラの弟子なら、ストーリーがかちっとした映画を作りそうもないですね。

市山:しかも共同プロデューサーがカルロス・レイガダスですから。それに『リーサルウェポン』の俳優ダニー・グローバーの製作会社が出資しています。

 

――レイガダスとタル・ベーラには関係があるんですか?

市山:彼も講師に来たらしい。そこでルートが出来たんじゃないですか。レイガダスはメキシコに配給会社を持っているんです。もともと自分の映画を誰も配給してくれないんで、自分で配給会社を作って、是枝裕和監督の『そして父になる』の配給権を買って、儲けたらしいです。

 

――よかったですね。レイガダスの映画で儲かるとは思えませんから。

市山:おそらく今回もメキシコの配給権と引き替えに出資したりしているのかもしれません。そういう点では、いわゆる商業的なものを無視して作っていて、ビジュアル的にも凄いし、風景も凄いです。

 

●「迂闊な犯罪」のシャーラム・モクリ監督

――『迂闊な犯罪』のシャーラム・モクリという監督はどこから出てきた人ですか。

市山:アジア・フォーカス福岡映画祭で上映された『予兆の森で』という映画の監督です。全編1シーン1カットで撮ったというのが売りの映画で、ヴェネツィアのオリゾンティに入って話題になったんですが、どちらかというとトリッキーな映画を作る人です。いわゆるファルハディ系では全然なくて、イラン映画の中ではかなり異色な映画を撮っている人です。

 

――カザフスタンの『イエローキャット』は?

市山:アディルハン・イェルジャノフも知り合いで、スタイルとしてはオミルバエフ風の自然主義的なものをやりつつ、宇宙人の出る映画を撮ったり、かなり変わったものを入れてくる監督です。監督第1作はタイムスリップする映画でした。今回は現代の話なんですが、カザフスタンの草原地帯に前科者が足を洗って映画館を作ろうとするんだけど、妨害が入ってという話で、前科者の男はジャン=ピエール・メルヴィルの『サムライ』の大ファンで、いろんなところでアラン・ドロンのものまねをするという相当変な映画です。

 

――それだけ聞いても相当変ですね。カザフって、そういう映画も出てくるんですね。

市山:カザフの中でも異色の監督です。

 

――インドの『マイルストーン』は?

市山:監督のアイヴァン・アイルには『ソニ』という女性警察官の日常を描いた映画があって、Netflixに入っているのでそこで見られるんですが、『マイルストーン』は中年のトラック運転手の日常を描いた映画です。

 

●コロナ禍のインド、中間系の作品も

――インドというとボリウッド的なものと、映画祭に出品されるような知的な映画と二層に別れているように思うんですが、現状はどんな感じですか。

市山:ボリウッド系の『バーフバリ』のようなものもあるんだけど、もう少し中間のような人もこういうインディペンデントの映画に出ている。

 

――そういう中間の映画をかける映画館やチェーンがあるんでしょうか。インドだからネット配信かもしれませんね。今インドはコロナで大変だし。

市山:この映画は撮影が終わったところでロックダウンになったらしいです。北インドの話で、冬の寒々とした風景が延々と出てきます。主人公の中年の運転手の奥さんが亡くなっていて、奥さんの家族に賠償金を払わなきゃならないので腰痛に苦しみながら仕事を続けているという設定なんですが、奥さんの妹が完全に東アジア系の顔をしていて、シッキムの出身という設定です。チベット人のような、モンゴル系の顔をしています。背景が分かるともっと面白く見られると思うんですが、なかなか普通に見られないインドの風景が出ています。

 

●麻薬戦争描く「アスワン」

――フィリピンの『アスワン』は?

市山:アリックス・アイン・アルンパクはタレンツ・トーキョー出身の女性監督ですが、危険なところに踏み込んで撮っている。大丈夫かなと心配になるくらい。34年前からずっと撮っていた麻薬戦争についてのドキュメンタリーです。

 

――メンドーサっぽい? 彼は最近デュテルテ政権の麻薬戦争ばかり撮ってますから。

市山:劇映画ではなく、ドキュメンタリーなので、メンドーサっぽくはないです。

 

●台北映画祭のオープニングに選ばれた「無声」

――それから台湾の問題作『無声』ですが。

市山:これは本当にちょっとびっくりです。実際に起こった事件の映画化で、どこまで事実に基づいているか分からないんですけど、聾唖学校の中で女の子がレイプされていて、それを新入生の男の子が先生に言おうとする。しかし、女の子は聾唖のためにお父さんに家に監禁されていて、社会福祉士の人にその学校に入れてもらったので、監禁生活に戻るくらいなら今の生活の方がいいとから言わないでくれと。

 

――デビュー作で台北映画祭のオープニングに選ばれたというのも凄いですが、問題作ですね。

市山:台湾は10月公開なので、そこでまた賛否両論いろいろ出てくると思います。問題の起こった学校は、台湾の人が見れば、あの学校だとわかるそうです。2011年に起きた事件らしいです。

 

●ワン・ジン監督のデビュー作「不止不休」

――次は中国の『不止不休』ですが。

市山:ワン・ジンはジャ・ジャンクーの助監督を56年務めた人で、彼のデビュー作です。

 

――社会派ですね。

市山:中国版『新聞記者』です(笑)。実在の新聞記者をモデルにした話で、政府を告発したというよりは社会問題を告発した。中国では2003年くらいにSARSが収束した後、B型肝炎が流行したんです。僕もこの映画を見て知ったんですが、B型肝炎はそんなに簡単に伝染するものではないですが、誤解によりB型肝炎の患者が差別にあったり、偽の証明書が出回ったりしていることをつきとめて告発した。その人の実話に基づいて映画化している。

 

tokyo2020_01_p2_sub●佐藤快麿監督の「泣く子はいねぇが」

――今年は日本映画が4本ですね。

市山:4本ともパターンの違う映画なんで、どれか1つを落とすのは難しい、では4本全部やろうと。

 

――今までは多くて2本?

市山:1回が3本でした。その後、2本のことが多かった。

 

――0の年は?

市山:それはなかったです。日本映画は必ず何かやってました。1本ということもありましたし、2本が多かったですが、今年は上映枠があるならやろうということで4本やることになりました。

 

――佐藤快麿監督の『泣く子はいねぇが』はサンセバスチャンで賞を獲りましたね。

市山:撮影賞でした。この人は河瀬直美さんの『朝が来る』と同じカメラマンです。監督の佐藤快麿さんの2本目ですが、商業映画としては初めての映画なんで。それがいきなりサンセバスチャンのメインコンペに入って賞を獲ったという。

●池田暁監督の「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」

――いいデビューですね。池田暁監督の『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』はビターズ・エンドが配給なんですね。

市山:これはVIPOという経産省の管轄で出来た組織があって、ワークショップで選ばれた監督に30分くらいの短編映画を撮らせる機会を与えていた。そこが初めて長編を製作したもので、かなりの額がVIPOの出資です。しかも、すごい変な映画で、ここ最近の日本の戦争に向かいつつあるかのような雰囲気に対するアンチテーゼにも見えます。海外の人が見ると、デッドパンな感じがカウリスマキの影響と言われるかもしれません。監督の池田暁さんはかなり変わった才能で、『山守クリップ工場の辺り』という作品がロッテルダムとバンクーバーの両方で賞を獲っています。

●春本雄二郎監督の「由宇子の天秤」

――続いて春本雄二郎監督の『由宇子の天秤』ですが。

市山:これは去年フィルメックスで新人監督賞のシナリオを公募した、そのファイナリストに入った作品で、シナリオを読んでいました。さっきの台湾映画と同じで、あそこまでひどくはないんですが、学校でいじめで自殺した女の子がいて、その謎をさぐっているドキュメンタリーの映画監督が主人公なんだけど、彼女の父親が起こした不祥事が発覚する。正義感を持って事件を追及してきた人の父親がそういうことを起こしてしまい、それを隠蔽するかどうか迫られるという重層的な話です。

 

――フィルメックスの新人脚本賞に応募してきたときのシナリオそのままですか?

市山:そうです。読んだときに、これは映画化するのは大変だなと思ったのが、すごくちゃんと出来てて驚いたんです。ファイナリストなんで賞は獲ってないんですが、自力でお金を集めて映画化した。

 

――ファイナルには何本残ったんですか。

市山:10本くらいです。

『この世界の片隅に』の片淵監督が出資しているみたいです。マルコ・ミュラーがすごく気にいって、ピンヤオ映画祭のコンペに決まりました。向こうには行けないですが。

●松林要樹監督の「オキナワサントス」

――よかったですね。ただ、外との交流がないというのは映画祭的に残念ですね。4本目が松林要樹さんの『オキナワ・サントス』

市山:松林さんは文化庁の派遣で1年くらいブラジルに行ってて、その間に取材した話を元に作った映画です。沖縄からの日系移民は強制移住させられていたという話を聞いて、それを取材していったドキュメンタリーです。

 

――『祭の馬』もとてもよかったです。松林さんて、自分が惹かれるところにずっと寄っていく監督ですね。これは東風が配給するんで、とりあえず日本映画4本はミスっても公開されるので、見られますね。

 

――オープニングは万田邦敏監督の『愛のまなざしを』ですが、記者会見のときの万田さんのメッセージが素晴らしいと思いました。そして、クロージングがエリア・スレイマンの『天国にちがいない』で、スレイマンの全作品上映がある。

市山:劇映画はこの4本で全部ですから。本当に少ないですね。

 

――特別招待に常連のアモス・ギタイ、リティ・パン、ツァイ・ミンリャンがあり、見るのが難しそうな『七人楽隊』がある。

市山:これは香港での公開前なのでリモートNGなんです。これと、『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』を見ると香港の現在が分かります。『七人楽隊』は雨傘運動を扱うと公開できない可能性があるからかもしれませんが、50年代からの香港の話を、50年代がサモ・ハン、60年代がアン・ホイといった具合に、7人の監督が作っていくんですが、2010年の話から近未来に話が飛ぶんです。

 

――『十年』の監督達は酷い目に遭いましたからね。

市山:そのことは『デニス・ホー』の方に出てきます。

 

――他にジャ・ジャンクーの『海が青くなるまで泳ぐ』があります。

市山:これはベルリンでやったものですが、ほとんどインタビューなので、日本語字幕付で見た方がいいと思います。小説家へのインタビューで、彼らの話から中国の近代史を見るというもの。文革から今にいたるまでの話です。

――原一男監督の『水俣曼荼羅』は6時間9分という長さ、今年は長い映画が多いですね。

市山:『仕事と日(塩谷の谷間で)』も8時間と長いですが、これはシマフィルムが配給することになったんで、いずれ見られます。

 

――これは市山さんがベルリンで選んだ映画ですが、どこで上映するんですか?

市山:アテネフランセです。見逃しても配給が決まっているんで、いずれ見られますが、早く見たい方はアテネで。

 

――マノエル・ド・オリヴェイラの『繻子の靴』も長いです。

市山:これは松本正道さん(アテネフランセ文化センター)の企画です。朝日ホールが空いていたんで使えたんですが、600席の半分の300席なのですぐに満席になるはずです。

 

――松本さん念願のプリント上映で。

市山:デジタルリマスターされてなくて、HD素材がなく、フランスで出たDVDしかないそうなので。

 

●リモートなりの利点も

――タレンツ・トーキョーもリモートに?

市山:そうです。最初から今年はリモートになりますと発表したんで、リモートなら来年応募しようとやめた人も何人か知っていますが、来年は映画を撮りたいので、どうしても今年という人もいて、応募は意外にありましたね。もっと少なくなるかと思っていたんですが。かなり面白い監督もいますよ。

 

――リモートはリモートなりに何か利点があるんでしょうか。

市山:これは映画祭以上にリアルに開催した方がいいですね。みんなで飲み会に行ったりできないと。

 

――そういう余白のところが大事。

市山:なので、今回は日本の修了生で時間がある人達に呼びかけてリモート飲み会をやろうと思っています。何人か喜んでやりますと言ってくれています。

 

――飲み会もリモートですか。でもやらないよりはやった方がいい。

市山:あそこのファンドが応募を開始したとか、こういう企画ならあそこに応募した方がいいとか、そういう情報交換が重要なんで、本当は実際に会った方がいいんですが。

 

――来年はぜひフィジカルに開催を。

市山:日本の状況がこれ以上悪化しなければ出来るような気がします。海外がどうなってるかは分かりませんが。

 写真(上)は市山尚三ディレクター。写真(下)は1030日に行われた開会式で挨拶する審査員長の万田邦敏監督と審査員、右からクリス・フジワラ、坂本安美、エリック・ニアリ、トム・メス(敬称略)。コロナ対策のため、間にアクリル板が置かれている。

930日、西新宿の東京フィルメックス事務局にて)

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